薬局業務日誌

薬局で役に立つ情報を綴っていきます。

メネシット・ネオドパストン/マドパー・ネオドパゾール 採用するとしたら?  -論文読んで業務負担を軽減―

 ・配合されている芳香族L-アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤の種類

 メネシット/ネオドパストンに配合されている阻害剤はカルビドパ

 マドパー/ネオドパゾールに配合されている阻害剤はベンセラジド

 

 以前

「メネシット(=ネオドパストン)とマドパ(=ネオドパゾール)用量に違いがあるのはナゼ?」という記事にレボドパの血漿中濃度曲線下面積に差が出ることを書きました。

 

60分、180分までのレボドパ血漿中濃度曲線下面積(AUC/60, AUC/180)

ベンセラジド(マドパー、ネオドパゾール)対カルビドパ(メネシット、ネオドパストン

AUC/60

77.3±23.7μg・min/ml vs 33.2±9.51μg・min/ml

AUC/180

144.0±23.5μg・min/ml vs 76.3±10.7μg・min/ml

 

60分、180分どちらもベンセラジドのAUCが約2倍でした。前回の記事ではここまででしたが、ではこの差は実臨床に差を生むのでしょうか?

 

検討した研究がありますのでご紹介します。

Efficacy and safety of entacapone in levodopa/carbidopa versus levodopa/benserazide treated Parkinson's disease patients with wearing-off.  PMID: 26347184

 

この調査で評価されたOn-timeの増加、Off-timeの減少、UPDRS part2及びpart3のスコア減少(重症なほど高スコアなのでマイナスで効果ありとなります)を評価していますが、いずれも差がありませんでした。安全性においても同様でした。

 

・ベンセラジド配合の製剤にはジェネリックが無い...

効果・安全性に差がないのであればどちらを使用してもいいでしょう。ただ1つ違いがあるんですね。レボドパ・ベンセラジド配合製剤であるマドパー/ネオドパゾール/イーシー・ドパールにはまだジェネリックが出ていません。レボドパ・カルビドパ配合剤であるメネシット/ネオドパストンにはドパコールやパーキストンなどのジェネリックがあります。分4や分5で使用することもあるレボドパ製剤、ジェネリックへの変更が可能であることは薬局にとってもメリットが出てきますね。

どの医薬品を採用するのか? 処方箋発行機関に依存する部分は大きいですがそれをDI能力で優位に変えることも可能です。論文を読んでいきましょう!