薬局業務日誌

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骨粗鬆症による背部痛に効く薬はありますか? ~カルシトニン製剤~

骨粗鬆症による背部痛に効く薬はありますか? ~カルシトニン製剤~

<Introduction>

適応に「骨粗鬆症における疼痛」と記載されている製剤はメナテトレノンとカルシトニン製剤だけで、ビスホスホネートやPTHでは疼痛の文言はありませんが論文はあります。

日本で販売されているカルシトニン製剤はサケカルシトニンとエルカトニンの2種。

使用方法は1週間に20単位を筋注が保険適用。

 

検索してみました。ヒットした論文↓

1.Pain relief from nasal salmon calcitonin in osteoporotic vertebral crush fractures

PMID: 9385283

2.The effectiveness of calcitonin on chronic back pain and daily activities in postmenopausal women with osteoporosis. PMID: 16193299

まず1の文献をPECOります。

P:試験開始5日以内に非外傷性脊椎骨折と診断された年齢71歳から76歳の男性32名、閉経後女性68名

E:サケカルシトニン200IUを点鼻投与

C:プラセボ投与

O:visual analogue scale(VAS)で痛みを評価、点数の変化を解析。

※全患者にアセトアミノフェンの使用を許可している。

<情報の吟味>

ランダム化されている。ITT解析・サンプル数の推移の記載なし。

<結果>

臥位、座位、立位、歩行時と全ての体勢においてプラセボと比較してVASの点数が低い(より痛みが軽減)という結果。

<コメント>

この結果を見るとかなりの効果があるのでは?という印象ですね。

 

 

続いて2の文献をPECOります。

P: 慢性的な背痛のある骨粗鬆症の閉経後女性110名(画像所見3症例に区分)

 3症候/Ⅰ群椎骨骨折有り/Ⅱ群変性脊椎症及び脊椎すべり症/Ⅲ群X線画像異常なし

E:カルシトニン200IU点鼻および経口カルシウム製剤1000mg投与

C:経口カルシウム製剤1000mg投与のみ

O:NRSスコアの変化を比較

※NRSは痛みの段階を11段階に分けて、全く痛みがないが0、最も痛いを10として点数を問う評価方法。

<情報の吟味>

ランダム化されている。ITT解析かは不明。110名中2名が脱落。

<結果>

それぞれの3つの群全てにおいてNRSスコアの変化の差に顕著な差は見られなかった。

<コメント>

1の文献とは逆の結果。ただ骨折等の重度の場合は効果があるかも。

現在は後発品も販売されており、1本20単位で99円、週1回20単位投与なので1カ月で396円とかなり安い。経済面から高額なテリパラチドやデノスマブの使用ができない場合やビスホスホネートの副作用発現リスクの高い方などは使用を検討するのもありかと。