エンパグリフロジンの有効性
今回の論文
「Empagliflozin, Cardiovascular Outcomes, and Mortality in Type 2 Diabetes」
話題らしいのですが、話題に乗り遅れくこと1か月ほど?
では早速
P:18歳以上の2型糖尿病患者(BMI45以下、eGFR 30ml/m/1.73cm2)
E:placebo
C:Empagliflozin(10mg、25mg)
確認事項:
ランダム化されているか? :されている
ITTか? :ITTである
真のアウトカムか?:心血管イベントによる死亡、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中
手法に関しては問題なさそう
結果:
The primary outcome occurred in a significantly lower percentage of patients in the empagliflozin group (490 of 4687 [10.5%]) than in the placebo group (282 of 2333 [12.1%]) (hazard ratio in the empagliflozin group, 0.86; 95.02% confidence interval [CI], 0.74 to 0.99; P<0.001 for noninferiority and P=0.04 for superiority)
本文(というのかわかりませんが...)では上記のようになっている。
有意差ありで心血管イベントによる死亡、非致死性脳卒中、非致死性心筋梗塞を平均で20%減らす?結果になっている。
しかし、95%信頼区間は0.74~0.99で、0.99ならどうなの?と自分は感覚的には思いました。
さらに、これは教えて頂いたことですが、そもそもこの試験、プラセボ、エンパグリフロジン10㎎、25㎎を1:1:1でやってますよね?
論文併記のグラフは用量の記載がありません。
ではどこにあるのか??
「Supplementary Appendix」内にはしっかりと記載があるんですね。
placebo (N=2333) | empagliflozin 10mg (N=2345) | empagliflozin 25mg (N=2342) | |
---|---|---|---|
No.(%) | |||
cadiovascular death,non-fatal myocardial infraction,or non-fatal stroke(3-point MACE) |
(primary outcome)282(12.1)234(10.4)247(10.5)Hazard ratio(95% CI) 0.85(0.72~1.01)0.86(0.73~1.02)P-value 0.070.09
となってまして、2つの用量ともに有意差出てないですね。
つまり効果に差がないという仮説を否定できていないということですね。
本文(というのかわかりませんが...)では2つの用量のデータを1つにプールしたものをプラセボと比較し載せてしまっているのが問題ですよね
だって用量が10㎎と25㎎で条件違うのだから同じ物質だからと言ってプールできないでしょう。
さらに有害事象に関してですが、AppendixのTable S13に記載があります
Adverse event | placebo | empagliflozin |
---|
10mgempagliflozin
25mgP-valuEvent consistant with genital infection42(1.8%)153(6.5%)148(6.3%)< 0.001 Male patients25(1.5%)89(5.4%)77(4.6%)< 0.001 Female patients17(2.6%)64(9.2%)71(10.8%)< 0.001
この表から性器感染症発症リスクが4倍になるということです。
効果に有意差が出ておらず、性器感染症リスクが4倍で有意差が出ている。
この結果からの結論は使用すべき薬ではないと判断するのが妥当だと思いました。